【コンサルテーション事例】「散歩中に他人や他犬に吠えかかる」

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【コンサルテーション事例】「散歩中に他人や他犬に吠えかかる」

シフォンくん (ラブラドールレトリバー ♂ 去勢済み 2歳)

このお家には先住猫もいて、飼い主さまははじめて犬を飼う。
散歩中や病院の来院時に他人や他犬をみつけると吠えかかってしまう。
1年ほど前に同じ問題で悩み警察犬の訓練所へ3ヶ月間の預かり訓練に出したが、帰宅後改善されなかった。
体が大きく興奮するとパワフルなシフォン君は、女性の飼い主さまには扱いきれずに困っていたところ、動物病院の紹介でお母様と中学生の娘さんがコンサルテーションを受けることに。


■飼い主さまの主訴

・お散歩時に他人や他犬を見つけると興奮して吠えっかってしまう。
・訓練所にだしても改善されない。
・訓練所でチョークチェーンやスパイク(ショックを与えるために首輪の内側に針がでてくるもの)の使用を指導されたが、ドッグランで出会った愛犬家の人に「かわいそうだからやめたほうがいい」と言われどうしたらよいのか悩んでいた。

・訓練所での指導はオスワリ、フセ、つけ等の基本指示のみで問題改善のためのアプローチは罰以外には指導はなかった。
・訓練所に預かり中の定期的な対面や指導はなし。
(会いに来ると気が散るからとの理由)
・預かり訓練最終日の2日間だけ訓練所で引き継ぎを受けるが帰宅しても問題は改善されず。
・「アイコンタクトはこの犬は覚えが悪くできない」と言われた。

■改善方法

・他人や他犬をみつけて吠えかかることで嫌な対象が追い払えるという学習で強化されたことを説明。
・罰は慣れてしまうこと、タイミングが難しいこと、飼い主との信頼関係を壊してしまうこと、何をしていたら良いかが伝わらないことを説明。チョークチェーンやスパイクなど、罰の使用は効果がない。
・犬の訓練には様々な方法があるが、家庭犬には罰を与えるトレーニングは必要なく、むしろ害となる。

・預かり訓練をしているところは多いが、預かり中であっても定期的な面会や引き継ぎがなされなければ、犬も飼い主も良い関わりや学習を身につけることはできない。
預かり訓練で問題改善をするためには、自宅での引き継ぎも必要だったことを説明。
依頼した訓練所に問題行動を改善するまでのスキルや知識がなかった。
・「吠える」は「行動」だが、その背後には不安な気持や葛藤という「感情」がある。
行動を変えるためにはまずは感情を変えるトレーニングが必要。
・感情を変えるためにはインパクトのあるスペシャルなトリーツ(食べ物)が必要。
・他人や他犬を見つけたらトリーツをもらえる声がけをし(マーク)、口元までトリーツを届けて食べさせる。
・興奮が激しいとトリーツを食べられないので、トレーニングする際は前日から食事を抜くなどして調整しモチベーションを高める必要がある。
・ボディーラップ効果で落ち着き易さも期待できるので、引っ張り防止のトレーニング専用のハーネスを着用して行う。
・リードを握る手のグリップも大切なので、丸筒型の綱のリードではなく、ナイロン製の平型リードを使用する。
・気になる対象から視線を外すためにアイコンタクトのトレーニングも有効。
その場でトレーニング方法をレクチャー。
トリーツでの誘導からすぐに自発的にできるようになった。
・アシスタントに手伝ってもらい、アシスタントから視線を外すトレーニングを実践。
すぐにアシスタントから目線をそらし自発的にこちらに視線がむくようになった。
・トレーニング以外のシチュエーションで他人や他犬に吠えかかるということを経験させたくないので、普段のお散歩は人気の無い時間帯や場所を選んで行うこと。

・望ましくない行動はさせない管理で、望ましい行動だけを積み重ねられるように。

■その後の展開

2回目のレッスンでトレーニング専用のハーネスをフィッティング。
実際にお散歩を想定したトレーニングのレクチャー。
この時すでに他人に吠えかからずにすれ違えるようになっていたが他犬への反応はまだ少し強め。
シフォンくんが反応して向かっていくリードに圧がかかる初動で止められることが必要。
リードの持ち方や歩き方をレクチャー。
お母さんも娘さんもしっかりとコントロールできていた。

3回目のレッスン
ハーネスに合わせて扱いやすい平型リードも使用開始。
興奮のスイッチをきるための手段の一つとして、飼い主がリードを踏んだらフセをするというセトルダウンのトレーニング。
散歩中の体のコントロールと視線のコントロールに役立つヒールポジション(人の左側につく)のトレーニング。
散歩時の他人他犬への吠えかかりはコントロールできるようになったとのこと。
レッスン中の人の入室などにも初回のように吠えかかる様子は見られなくなっていた。

問題を改善できたので約2ヶ月の取り組み、3回の取り組みで出張レッスンを修了。

■まとめ

このケースは飼い主さまが専門家に相談して、費用も時間もかけ、訓練にだしていたにもかかわらず、適切な指導やサービスを受けられなかったことで問題が長引いていた。
また手法も家庭犬にあったものではなく、人道的なものではなく効果が得られていなかった。
訓練所に訓練や指導を依頼したけれども問題が改善しない、むしろ悪化してしまったというケースはこれまでにもたくさんあり、改めて家庭犬への人道的で効果的なトレーニングを伝えていかなければと思う。
犬に行動を教える際に力を使ったり、罰への恐怖心を利用したりするのではなく、犬にわかりやすく楽しみながら効果的に教えられる指導者が増えて欲しいと願う。
「この犬はできない」「この犬はダメだ」というレッテルを貼ることは、犬と関わるプロとして自分の力量がないことを伝えているということ。
指導者にそのような言葉を向けられた飼い主はどんなに切ない気持になるか。
犬のプロであっても、飼い主の気持に寄り添い支援する心はなくしてはいけない。
クライエントは相談しにくる前から様々に葛藤し悩んでくる。
犬のことも飼い主のことも否定することなく、最善の結果が今であることをねぎらいつつ、改善に導いていかなければならない。

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