■ソラくんはグルメな犬?
現在お預かり中の保護犬ソラくん。
愛護センターでは管理棟で過ごす間、職員さんから与えてもらうドッグフードをなかなか食べなかったと聞いていました。
我が家に来た初日、茹でたササミをパクパクと食べつき、翌日からはドッグフードも少しずつ食べてくれるようになってきました。
環境への変化のストレスもあるでしょうが、なによりもソラくんの食へのモチベーションが低いのは、過去に家庭犬として人と暮らし、人の食事を与えてもらっていたからだと思っています。
人の食事中に飛び上がって催促する行動が多くみられるからです。
これは過去にその行動で効果があったことから学習していることを意味しています。
お預かりから1週間の間で、ソラくんにササミを与えて食べなかったことは一度もありませんが、ドッグフードは与えて食べるときと食べないときのムラが見られていました。
ドッグフードは価値が低く、ササミや人の食べる食事など、ソラくんにとっては食べ物の好みがしっかりとありグルメになっているようです。
■コミュニケーションを楽しみながら取り組む食事管理。
そんなグルメなソラくんに一番必要なのは、総合的な栄養素を毎食取れるような食事管理です。
犬は満腹中枢が刺激されずらい動物なので、本来は適量食べていてもまだほしがるという状態が正常なのです。
今のソラくんはドッグフードに対してモチベーションがさほど高くなく、出された食事を完食するというのが当面の目標になってきます。
現在自宅でお預かりしながら、フードをご褒美に使い、ハウストレーニングだけを行っています。
それはソラくんと私との大切なコミュニケーションの時間であり、ソラくんの欲求充足のためにも大切な時間です。
朝晩と2回、1回5分程度の時間で、このハウストレーニングのご褒美として食事を与えています。
それ以外に器で与えるということはしていないので、ソラくんがトレーニングやフードにモチベーションを感じずに食べなければ、そのまま「食べられる機会」を失うことになります。
生活している中で人の食事中に催促しても、人の食べ物は絶対に与えられることなく、ハウストレーニングのチャンスに食べなければ、お腹をすかしてまた次のトレーニングの機会を待つしかないのです。
一回の食事がトレーニングのご褒美にもなり、行動を教えてあげる機会となり、食べなければ与えないという食事管理にもなり、人とのコミュニケーションを楽しむ時間にもなり、頭や体を使うエネルギー発散にもつながるのです。
こんなに有益なことはありません。
■食事を与えっぱなしにしてはいけない理由
健康状態に問題がある場合は別として、多くの食事をすぐに食べない犬たちは、食べないからと言って食事を与えっぱなしにされていることが多いのです。
それではいつでも自分の好きなタイミングで食べられるものとして、益々フードの価値が下がってしまいます。
ワンコ用のふりかけや野菜をトッピングしなければ食べませんという子も、犬たちは食べなければ美味しいものが追加されることを学習しているのです。
そんあ子たちにオススメしたいことは、まずは食事を与えっぱなしにするのではなく、食べなければ与えないという管理です。
人が与えてくれた時にだけ得られるものとして、価値を高めてあげる必要があります。
最近は人のファスティング(断食)が流行っていますが、健康状態に問題のない子たちであれば、犬たちも数日食べないからといって心配する必要はありません。
食べる意欲を取り戻してあげるために最初は人も忍耐が必要ですが、愛犬の健やかな暮らしのためにも取り組んであげたいものです。