基調講演「ペットと暮らす老後を考える~アニマルセラピーの効果~」レポ
11月12日(日)青森県動物愛護センターで開催された「青森・アニマルセラピー推進委員会」主催の基調講演のレポートを綴ってまいります。
■レベッカジョンソン先生の紹介
今回で来日は3度目というレベッカ先生ですが、今回は通訳の小池さまと、今回の青森公演を繋いでくださった日本ヒルズ・コルゲート株式会社代会長、越村会長とご一緒の来青でした。
レベッカ先生はIAHAIO(人と動物の関係に関する国際組織)の会長を6年務めるなど、人と動物の相互作用の研究において、数々の功績をお持ちの方です。
元々は人の医療の看護師さんで、アメリカ・ミズーリ州にあるミーズーリ州立大学で「人と動物の相互作用」についての研究をされながら、高齢者がペットと暮らす事を推奨する、高齢者の集合住宅「タイガープレイス」を設立され、今も尚世界各国で講演活動を行いながら研究を続けられています。
お人柄はとても明るく、ユニークで笑顔の素敵な女性といった印象でした。
講演の中でも数々のユーモアを交えながら、会場から笑いを取ろうとしていらしゃいましたが、青森会場は土地柄なのかそれはとても難しいかったようで、「ここは笑うところです」と何度もおっしゃっていました(笑)
前日に東京での公演を終えて、他に講演の予定はなく、青森に立ち寄ってくださいました。
この貴重な機会に立ち会えた方々は本当にラッキーだったと思います。
■ミズーリ大学の理念と研究
お話を聞けば聞くほど、日本とのギャップを大きく感じてしまうのですが、やはり社会や教育の場に、そもそもの人と動物の共生を教える考えやあり方があることにまずは驚きです。
ミズーリ大学における人と動物の相互作用の研究では、「人の医学」も「獣医学」も共に医学であり共通であるという理念があります。
全米でもたったの5校ということでしたが、獣医学部・医学部・看護学部が同じキャンパスにあるのだそうです。
2005年に人と動物の相互作用の研究センターを設立し、人と動物の相互作用がもたらす健康への効用の研究・促進をおこなってきました。
研究対象は「ペットの飼育」「動物介在活動(AAA)」「動物介在療法(AAT)」の3つです。
過去記事にも書きましたが「動物介在活動」と「動物介在療法」の違いに関しても説明くださり、会場からもこの違いを知ることができてとてもよかったですとコメントがありました。
ミズーリ大学ではこのような様々な分野において、人と動物の相互作用に関する研究の助成、研究とプログラムの実施、情報発信・会議の開催・学生および一般への教育などが行われています。
■人と動物の相互作用とは
人と動物の絆として3つのことが伝えられました。
・人にも動物にも有益でダイナミックな関係
・人と動物の両者の健康と幸福に欠かせない
・人と動物、環境の感情的、心理学的、肉体的な相互作用を含む
動物と接することで人が癒やされるのはなんとなく理解している人は多いと思いますが、実は動物たちにとっても良い効果があるのです。
人と動物が共に過ごすことで、双方にとって健康で幸福感を得られることが判っています。
動物が介在介入すると、人にとって動物が「快刺激」となり、視覚・聴覚・触覚・嗅覚が刺激されます。
そこから迷走神経への刺激に繋がり、同化代謝・エネルギー貯蔵・成長が促されるのです。
これはかなり昔の研究ですが、南アフリカでの先駆的な研究の中で、30分無言でふれあって過ごしてもらった犬と人に対し、直後に血液検査を行ったことで、健康にポジティブな影響を与える神経ホルモンが増加し、健康にネガティブな影響を与えるホルモンが減少したことが判ったのです。
具体的には高揚感を感じるフェネチルアミン、発奮を感じるドーパミン、陶酔感を感じるエンドルフィン、幸福感を感じるオキシトシン、愛情を感じるプロアクチンが増加し、ストレスホルモンといわれるコルチゾールが減少したということです。
ここまではまだ前半ですが、この後もエビデンスに基づいた価値ある情報がたくさんありましたので、また別記事で記録しておきたいと思います。